日本で一番盛り上がっている2輪レースと言っても過言ではないテイスト・オブ・ツクバ(T.O.T) SATSUKI STAGEが、5月14日(土)・15日(日)に行われました。今回は、新型コロナ対策をしながらも久しぶりに入場者数規制のない状態での開催となり、多くのショップ、メーカー、飲食のブースがグランドスタンド裏や芝生広場に出店。多くのお客さんが来場し盛り上がりました。もちろんコース上でも、多くのクラス・カテゴリーが開催され220台がエントリーし、こちらも大いに盛り上がりました。
昨年、秋に開催されたKAGURADUKI STAGEでコースレコードを出し優勝したことで、3号機まで製作したSUZUKI KATANA 1000Rプロジェクトに終止符を打ち、今回のSATSUKI STAGEより新たにSUZUKI GSX1300R~鐵隼~プロジェクトをスタートさせました。
加賀山がライディングとアイディアを、齊藤雅彦チーフメカニックは技術的設計・開発を、野口裕一メカニックが工作・製作・デザインをそれぞれ担当。とはいえ、やることを決めたのが昨年の12月。メインフレームも一から作るしかない状況で、野口メカが35mmの鋼管を曲げて製作。ホイールがついたのが、レースの3週間前でした。
5月6日のシェイクダウンに間に合わせるためには、4月末には走れる状態にしなければいけません。何とか鐵隼が組み上がったかと思えば、作業の中心である野口メカが腸閉塞で倒れ1週間入院してしまいます。加賀山は自らステッカーを作り、齊藤メカやスタッフ総出でシェイクダウンを行い、本番までの最後の仕上げを行いました。野口メカも退院して、そのままワークショップに駆けつけてカラーリング作業を施していました。ヨシムラさんも特急でエキゾーストを間に合わせてくれました。
こうしてレースウイークを迎えましたが、金曜日は雨。ここから初めて上位を狙うために速く走るためのセッティングを進めて行きました。ウエットコンディションでしたが、2本ともドライを想定して走行。土曜日は、1本だけ昼に20分の特別スポーツ走行がありましたが、10時前まで雨が降っていたためウエットパッチが残るコンディションのため、思い切りドライで走れなかったものの、そこはチームとしての経験の成すところ。
日曜日の午前中に行われた公式予選。ここでニュータイヤを履き鐵隼では初めて58秒台に突入。
残り5分というところでピットインし、もう一回アタックしようと残り3分でピットアウトする。しかし、その直後にエンジンブローしたマシンがあり赤旗中断。予選は、そのまま終了となり、最後のアタックはできず終いとなってしまいます。予選3番手となりフロントロウイン側からスタートすることになりました。
そして、いよいよ決勝を迎えます。スタートが得意なはずの加賀山でしたが、鐵隼はSTDエンジンとはいえ、排気量が1300ccもあるため、トルクが太く、初めてのスタートだったこともあり、意外に難しかったといいます。1コーナーへは、3番手で入っていきオープニングラップを終えます。2周目には、前の2台がバトルを繰り広げ、1台が失速したすきをつき2番手に浮上します。しかし、その直後の第2ヘアピンで転倒があり赤旗中断。残り10周で再スタートすることになります。
2度目のスタートは、うまく決まりホールショットを奪います。そのままレースをリードしていきたいところでしたが、オープニングラップのバックストレートでH2Rを駆る光元選手にかわされてしまいます。背後には岩﨑選手と新庄選手が迫り、昨年11月と同じメンバーでのトップ争いとなっていきます。加賀山も58秒台にペースを上げトップを追いますが、その差は縮まらない。逆に後続が接近してきますが、これをしっかり抑え2位でフィニッシュしました。
レース後には、隼ミーティングに集まってくれた皆さんと、まだ熱気冷めやらない筑波サーキットをパレード。加賀山が隼で先導し、約100台ものSUZUKI GSX1300R 隼が走る様は圧巻。多くのお客さんも帰らずに見守ってくれました。
加賀山就臣ライダーコメント
「まずは“鐵隼”プロジェクトの初レースを終えられたことを、ご協力・応援してくださった皆さんに感謝いたします。かなりギリギリのスケジュールでした。その中で鐵隼を作り上げたウチのメカニックにも感謝したいですし、技術力の高さを証明できたと思います。結果はライバルにあっさりとストレートで抜かれてしまい2位と悔しい部分もありますが、テイストらしく、これからアップデートしてH2Rをストレートで抜く新たな目標ができました。そして、今回は隼ミーティングを企画・開催させてもらったのですが、鐵隼で出るということで「Busa-Tomo.Net」の皆さんが、応援Tシャツやステッカーを作ってくださり運営をサポートしてくれました。
筑波にも多くの皆さんが駆けつけてくれて、一緒にパレードもでき感無量でした。サーキットに初めて来て、レースを初めて観戦してくれた方も楽しんでくれたようで、嬉しく思います。次回の参戦は一年後となりますが、これからも楽しみながら応援してもらえることを企画していきますので期待していてください。」