全日本ロードレース選手権が8月9日（日）・10日（月・祝）に宮城県・スポーツランドSUGOで開幕しました。新型コロナウイルスの影響を受け、4月に開幕する予定でしたが、延期・中止が相次ぎ、ようやくレースを開催できる運びとなりました。尽力いただいた、すべての皆さまに感謝申し上げます。

2020年シーズンのTeam KAGAYAMAは、チームオーナー兼ライダーである加賀山就臣がチームに戻り立て直しを図ります。さらに新設となるST1000クラスには、昨年のJ-GP3クラスチャンピオンの長谷川聖を起用しフルエントリー。マシンは、ヨシムラのサポートを受けたGSX-R1000Rとなり、チーム名は、Team KAGAYAMA powered by YOSHIMURAとヨシムラの名が入っています。

J-GP3クラスから、1000ccを走らすことになった長谷川のために、SUGOやツインリンクもてぎのスポーツ走行でテスト走行を行いましたが、絶対的に走り込む時間は少なく、7月下旬に行われた事前テストも天気に恵まれず思うようにアジャストは、進んでいませんでした。昨年まで使っていたマシンをブリヂストンタイヤに合わせる作業をしている加賀山も同じで、決して万全とは言えないままレースウイークを迎えていました。ただ、その中でも長谷川は、ドライコンディションである程度タイムが出ていたのが、ポジティブな要素でした。

土曜から始まる通常とは、一日ずれたレースウイーク。初日、2日目と、またも雨に見舞われてしまいます。加賀山は、ウエットコンディションで抱えている問題を、なかなか解決できず苦戦。日曜日の公式予選でもセットを変えながらタイムアタックするものの9番手と不本意なポジションとなっていました。長谷川も、ただでさえ経験値の少ない中、ベテラン勢も転倒を喫するコンディションに苦戦。予選のポジションは、18番手となっていました。

予選終了後、晴れ間も見えましたが、再び雨が降り始めウエットコンディションでJSB1000クラスのレース1が行われました。初戦だけに、完走することを第一に周回を重ねていましたが、7周目の1コーナー進入でリアがすべり、何とかコントロールしようとしましたが、縁石でグリップが回復、ハイサイド状態となりマシンから放り出された加賀山は、右肩からアスファルトに叩きつけられてしまい右鎖骨を骨折。そのままリタイアとなり、翌日のレース2も欠場を余儀なくされました。

山の日（祭日）に行われた決勝。朝から青空が広がり、夏の暑さが戻ってきていました。長谷川のマシンを事前テストの状態に戻し、朝のウォームアップ走行で確認。後方グリッドからの追い上げを狙っていましたが、まさに、その通りの展開になりました。

初めての1000ccでのレースでしたが、うまくスタートを決めた長谷川は、オープニングラップを15番手で戻って来ると1台、また1台と前を行くライダーをパスしポジションを上げます。6周目の1コーナーで谷本選手を、7周目の馬の背コーナーで伊藤選手を、8周目の1コーナーで藤田選手をかわし6番手に浮上！　前を走る津田選手のテールに迫って行きます。さらに前を走るライダーが2人転倒し、一気にポジションは4番手。津田選手をかわせば表彰台という状況でしたが、14周目に赤旗が提示され、そのままレース終了となりました。結果は4位。上々のST1000デビュー戦を飾りました。

加賀山 就臣 ライダー コメント

まずは、コロナ禍の中、頑張ってくれている医療従事者の皆さん、そして今回のレースを開催できるように尽力いただいた皆さんに感謝いたします。そして応援いただいている全ての方々にも御礼申し上げます。今シーズンは、Team KAGAYAMAに戻り、第1戦からいい結果を出そうと努力してきましたが、うまくマシンをまとめることができていない状態のままレースに臨むことになっていました。特にウエットで問題があり、レース1も完走を第一に周回を重ねていましたが、1コーナーで足もとをすくわれてしまい右鎖骨の先端を骨折してしまいました。手術しにくい場所なので、保存療法を選び、次戦、岡山ラウンドに出られるように備えます。結果を残せず申し訳ありません。長谷川は、ST1000デビュー戦で4位と、J-GP3チャンピオンとして恥じない走りを見せてくれました。まだまだノビしろがある中で、このスピードが出せることは、これからが、ますます楽しみなところです。

長谷川 聖 ライダー コメント

入賞するのが目標だったので初戦から達成することができてよかったです。ただ、ウエットでは、全然適用できず、タイムを出せず終いで予選18番手だったので、追い上げること以外、考えることは、ありませんでした。第一目標は完走すること、その中で一つでも上の順位でゴールしようと思っていました。1000ccのレースは初めてなので、スタートは不安でしたが無難にこなせました。そこからは、ヨシムラGSX-R1000Rは、ストレートが速く1コーナー、馬の背コーナーへのブレーキングで抜くことができました。転倒も多かったので気をつけつつもペースを落とさないことを心掛けて走っていました。ひとまず4位という結果を残せたのは、サポートしてくださったチームの皆さん、的確なアドバイスをしてくださった加賀山さんのおかげです。トップライダーと走って、まだまだ改善していく部分がありますし、次戦に向けて車体とタイヤを理解して行きたいですね。

斉藤 雅彦 監督 コメント

コロナ禍の中、再びレースができることを尽力いただいた皆さんに感謝いたします。今シーズンは、加賀山がチームに戻り、いい結果を出そうと、ここまで努力してきましたが、事前テストからウエットコンディションで問題があり、その改善に取り組んできました。予選でようやく攻められる状態になってきましたが、トップとの差は、まだまだありました。加賀山には、早くケガを治してもらい、今回のデータを検証して次戦に備えます。長谷川も雨は苦戦しましたが、まだ1000ccの経験が少ないので、もっと学んで行けばウエットでも速く走れるようになるでしょう。ドライでは、事前テストで1分30秒前半が出ていましたし、マシンも走っていたので4位になれました。予選順位が、もう少しよければ表彰台に上がることができたかもしれませんね。